トレステ富士山フォトコンテスト2021審査結果発表
審査結果発表
審査結果発表
たくさんのご応募を誠にありがとうございました。 応募総数1383点の中から選ばれた入賞作品を発表いたします。
※商品の発送は1月中旬以降を予定しております
総評
提出された全作品を拝見した。見事な気を引く冠絶な富士山磁場の作品は何度も私の目線を止めた。富士山写真史上でも私の記憶にない作品もいくつかあった。FSCからDSC。時代推移で撮影機材がスマホ・タブレット・テクノロジー・デジタルコンピューター等の文明の勝利によって激変。その分フィルム時代のようなリアリズムは遠くなったという見方もある。写真もDSCの動画撮影の中から、一コマ一コマ拾い静止画写真にする時代。写真家の以前からプライドだった「決定的瞬間」はさほど難しくないところまで追い込まれたとも言える。何もかも便利に出そろったデジタル富士山世相。場所も時間も昔より撮りつくされたごとき日本一の霊山富士。その写真判断の前で写真者はどう己の存在理由を発見出来えるか。富士山写真の見慣れた三角形の輪郭をレンズに納めるとは自分自身の知性を具現化することである。写真者がいつの時代も陥るありきたりの類同性、類例性、類似性。そこの限界を回避し該博の独創の視覚次元まで辿れ切れるかどうか。
FILM時代の岡田紅葉先生の時代から約64年。現代は紙焼きにする写真者が本当に少なくなった。富士山写真は常に一瞬一瞬に変化し推移する動線の延長刻。生き行く究極の富士山を春夏秋冬時系列化する写真家の知力は尊い。写真者は富士山への羨望を躊躇なく独自に二次元表現に設置する神経。富士山写真への客観的な写真思考を身に着ける意味。
富士山の顔の端倪を見抜く力量。富士山はイキモノ。穏やかに人の心を浄化する姿だけでなく自然の厳しさや乱脈もあることを純粋に考えつつ撮影に望みたい。
(審査員長:JPS 池谷 俊一)
富士山フォト部門
グランプリ
グランプリ
「雲湧く火口」飯田 龍治様(静岡県)
作者コメント:
真冬の宝永第二火口縁から撮影
火口には不気味な雲が湧き中の様子は分からない。御釜から湯気が湧いている様な錯覚に陥る。雪庇の踏み抜きに最新の注意を払い火口縁に近づきローポジションで撮影した。
寸評:
ドアップ不尽山。古代気配の不弐山。何も加えず何も引かぬ写真の福慈山。作者は富士山の写歴は長期に渡っている筈である。故にみえている作者自身の大切な福地山をあえてコンテストにこの作品を応募させていると考えられる。今までの富士山写真史の先入観や固定観念から脱出した実力有り。ありきたりの富士山の有形性を無視した大胆なるストレート作品。そのドキュメントは、容赦なく表面的綺麗さを否定し富士山の生成秩序を原始的に写した。山の4分の1程を雲級濃度のネオリアリズムで探求しきっている。
見える部分。見えない部分。その旺盛な強い精神力が飾り物の富士山を越えてゆく。写飾を否定し一般論の富士の艶姿より重要な作家自身の浮動表現。部分が鑑えぬことでより富士山の日々変化に近づききった作品。
無音して息づく雲級の群れは、シャッター後消え去ってしまったのか。それとも富士全体を雲級で包み見えなくしてしまったのか。この写真をみる側に一瞬間の寒さに絶えている強靭な富士の生命力を訴えていて素晴らしい。(池谷 俊一)
富士山フォト部門
準グランプリ
準グランプリ
「わが町のダイヤモンド富士」河本 眞一様(東京都)
作者コメント:
東京東久留米駅富士見テラスからの富士山です。毎年冬至の前後の夕方に見ることができます。
寸評:
全作品をみた後、縦位置のこの作品が眼奥から離れなかった。作家の美的秩序はロングショットを表出し、極めて都会派の感性を有している。富士山と都会との均衡を視覚美として開放した色彩の美しさ。レンズ選定の正確さ。カメラポジションの鋭角性。人工的範疇を嫌うネイチャー富士山写真家の傾向。それを越える浩瀚な知性には私はひれ伏すばかり。高踏的な富士山作品の中でも自由で明るい作品は夥しい冨士山作品群の中でも見事な構成である。(池谷 俊一)
富士山フォト部門
優秀賞 2点
優秀賞 2点
「神々しさのタッグ」ナオ様(東京都)
作者コメント:
コロナ禍で不安な中、富士山とハロ、二つの大きな力に祝福をもらい感動しました。
寸評:
今回最も葛飾北斎を連想させた名作。縦位置の掛け軸のごとき構図の中に富士とブロッケン現象の作品。二つの視覚的要素は自然界と自然界の楽しい戯れのようにも見える。教則的写真ではなく一種新鮮な緊張を持参しつつ妙に版画的な要素が出現している。
北斎のごとき徹して独自美の目標に発したこの作者は、高潔に律動している。妙に写真らしくなく版画のように不思議な空間は芸術写真の域まで達している。(池谷 俊一)
「冠月黎明」フジノヤマイ様(埼玉県)
作者コメント:
金時山から「パール富士」を撮影しました。富士山の雪面が朝日に染まるタイミングと重なり、とても感動的でした。
寸評:
写真作品は透徹した正統派。富士山と満月。濃度の赤富士は富士山の代表的写真パターン。満月が富士山頂上に拘る一瞬間。全景写真故に周辺の全記録が清浄化していて美しい。もはや定着した作品のパターンながら、作家の精神の素朴さを表していて、俳句や短歌の抒情的陶酔にも似て甘美な整序化を保った作品。(池谷 俊一)
富士山インスタ部門
グランプリ
グランプリ
masayuki.goudo 富士山写真家(komasa178) 様
寸評:
貴重なモノクロ作品。騒然とした自然界の叫びはロングショット。極端な白と黒だけのドラマ性は、強直なる雲集の流上と流下の乱雲。近景下部は、大きな木の枝の線が同じく黒く浮き出している。黒い小さな富士山の三角形は、全体を見渡していて中央に座しながら緊張感を表し壮烈化。黒と白だけの徹底した画面構成はクールグレーもウォームグレーも否定。この場合はむしろ群雲の白と富士山の白黒で十分作品のコンセプトを鮮明にしている。(池谷 俊一)
富士山インスタ部門
準グランプリ
準グランプリ
Yuki Maeno(yuki_maeno_usi) 様
寸評:
写実風景が魚眼レンズの目線で見ると面白い。アスペクトの位置に小さく人物が立っている。レンズをみているこの人物の影が画面全体の核となり、全体を支配し安定化している。曲線がたっぷりと描かれ対極的であり、被写体の何もかも曲線化された具象化はシュールリアリズムのフォト。ダリのチーズと時計の名作を思い出させる写真である。(池谷 俊一)
富士山インスタ部門
優秀賞 2点
優秀賞 2点
御殿場フォト&インスタ部門
グランプリ
グランプリ
Kaori Hoshimoto 星本かおり(ka0ri) 様
寸評:
ゴッホはまだ生きていた。この人は写真界のゴッホと断定できえる。B(bulb)時間は、この作品を見た人間を一気にゴッホの世界に引きずり込む強さを持っている。この写真作家は、俗眼から脱俗眼を手に入れた写真詩人である。私の寸評は写真家の資格満点としか記しようもない。凄い人が世にいるのだと感心した。(池谷 俊一)
御殿場フォト&インスタ部門
準グランプリ
準グランプリ
Hiroshi Katsumata(hiroshi3951) 様
寸評:
万華鏡の角度から見るとすべてのことが散点し、不思議な断片の絵柄を出産するものである。この作品は上下左右が同座。神秘的世界に見る人を誘う二次元の視覚美。夢の世界へと走行する様は面白さを得ている。(池谷 俊一)
御殿場フォト&インスタ部門
優秀賞 2点
優秀賞 2点
富士美華リゾート賞
「ダイヤモンド富士」榎本 久雄様(東京都)
作者コメント:
冬至前後三日が勝負どころのダイヤモンド富士撮影です。
寸評:
太陽光束と富士山頂上。五箇所の上下する頂上線に三層の白・黄色・赤の光輪は、全ての生物の誕生を予感させる。核エネルギー光束と神として崇める対象はシャッターを切るこの作家自身にもきっと過ぎった筈である。光を敬い従うことを得た様な作品は良好である。(池谷 俊一)
審査員特別賞 3点
「夜明けのブーケ」細井 健司様(東京都)
作者コメント:
夜明けに咲くトウゴクミツバツツジ。今年の花付きは上々で、まさにブーケのよう。
このブーケを君に捧ぐ。
そう念じてシャッターを切ると、富士は頬を赤らめて応えてくれた。
寸評:
花と雲と焼けた富士山のピンクの色合いが素晴らしく、また街の夜景が相まったとても美しい写真だと思います。(植田めぐみ)
「世界遺産を守る街」トシコユルギ 様(神奈川県)
作者コメント:
日本一の山の麓の街、吹き降ろす寒い日もあるけれど、日本一という自負が人々の心の支えと勇気を育てているような感じがします。
寸評:
富士山の山肌の中でも特に雪が多い御殿場側。知る人ぞ知る御殿場の富士山。まさに御殿場の富士山を表していると思います。(植田めぐみ)
御座賞 3点
「赤い剣ヶ峰と影富士」ミヤポン様(千葉県)
作者コメント:
御来光の裏側
「山頂を目指す 生育限界に咲くフジアザミ 大平原のシュカブラ」鈴木 常雄様(静岡県)
作者コメント:
登山者の灯りを目の前に見て山頂に向かう姿追い 生育限界に咲くフジアザミ: 宝永火口の標高2500m前後に咲くフジアザミが最高位の高さの一株 大平原のシュカブラ: 標高1800m前後一面にこのシュカブ゚ラが生きもののように山頂に向かっていた姿の一部
「秋彩」ヨシザワ ジュン様(埼玉県)
作者コメント:
麓は紅葉シーズン。真っ赤に紅葉した楓の木の中に潜り込んで撮影しました。
オンライン美術館『ONTHE DISCOVERY PORT』
【2022.2.1 OPEN】
【2022.2.1 OPEN】
2022.2.1にトレステ富士山フォトコンテスト2021のフォト部門応募作品を対象としたオンライン美術館がOPENします。
美術館の詳細は、近日トレステ公式WEBサイトで発表予定。
トレステ公式WEBサイト:mtfujitrailstation.com